旅に出た。

どこに行くというあてもなく、車を走らせる。

まわりの景色が、車の速度にあわせて、次々と変わっていく。

色濃い春の色をいっぱいにした景色。

人通りのほとんどない町の灰色の景色。

カラフルな服装をした元気色の景色。

・・・・・。

自分は、何のために旅に出たのだろう。

答えの出ないまま、日が暮れていく。

飛び込んだ宿屋で、一人、杯を傾けながら、

ぼーっとして壁のあたりを眺めている自分に気づく。

自分一人だけの空間。

立ち上がって、酒でほてった身体に冷気をあてようと窓を開ける。

何もない。

何も見えない。

冷たい空気だけ。

夜半に目が覚める。

風呂に行くか。

薄明かりのライトの下で、首まで浸かって、ため息をつく。

ふと見ると、お湯の中に何かが浮かんでいる。

何だろう。

よく見ると、私の身体の芯から出てきている。


私だけに見える、何か。


そう、それは、疲れ。


暗い人生を駆け抜けてきた「私の疲れ」

夜が明けたら、今日は、どこに行こうか。













独り ひとり 一人


明日は、こころの友に会いたい 


 

 

 

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